肩の後ろの痛み(腋窩神経と小円筋)
肩が痛い・・・
といえども、その痛みを感じる場所がどこを
中心とした痛みなのかで、原因が違ってきます。
今回のテーマは、肩の後ろの痛みです。
具体的な場所は、腋の下の後ろから、
肩の周りの丸みを帯びた筋肉の一帯あたりです。
辛いときに自分で反対の手を回そうとすると・・・
身体の硬い人は、指先が届かないかもしれません。
この辺りには、いろんな方向につながる多くの
筋肉が存在します。
そのほとんどが、肩甲骨から上腕骨に
つながる筋肉であり、一部、肘まで
つながるものもあります。
数ある筋肉の中で、腋の下の後ろにある
小円筋(しょうえんきん)と、肩口の
丸みを形成している三角筋(さんかくきん)の
2つは、同一の神経によって支配されています。
この神経は、
腋窩(えきか)神経
というものです。
この腋窩神経、その通り道の途中で、
四方を筋肉や骨で囲まれている所が
あります。
周辺の筋肉がある程度たわんでいてくれれば
問題は無いのですが、腋窩神経を取り囲む
いくつかの筋肉が凝り固まってくると、
何かしらの問題が出やすくなります。
その問題とは、肩の後ろ側の痛み、
肩(腕)の挙げにくさ、手先を背中側へ
回す動きのしにくさなどです。
腋窩神経は複数の筋肉で取り囲まれていると
前述しましたが、その中でも、小円筋という
筋肉の問題(凝り固まり)は、侮れません。
この小円筋の主な働きとしては、肩関節の
外旋(がいせん)という動きに関与しますが、
日常的な姿勢ではPCのマウス操作の時の格好が
当てはまるかもしれません。
肘が割と胴体の近くにあり、マウスを掴んでいる
手先が、胴体の斜め前方に位置しているような
姿勢が長時間に及ぶときが、小円筋が頑張り続けて
いる状態になります。
マウス操作時の格好以外にも、小円筋を頑張らせて
いる格好があります。
飲食業のスタッフさんがお盆を持っている時の格好や、
肘を90度位に曲げた状態で手首に買い物袋を提げて
いる状態など・・・
但し、いずれの場合も、さきほどのマウス操作時の
ように、手先は胴体の斜め前方向を向いているという
条件が加わります。
上記のように、手先が胴体の斜め前に向いた格好を
長時間維持し続けることで、小円筋が徐々に凝り固まり、
すぐ直近を通り抜ける腋窩神経が締め付けられ、
その支配領域である肩の後面一帯を中心に辛さが
出やすくなる・・・という流れになります。
前出の格好なんて、あんまりしていないんだけど・・・
肩の後ろ側が痛むという場合には、小円筋以外の
腋窩神経直側を通っている筋肉の問題や、時として、
頸椎由来の原因で痛みが生ずることもありますので
精査が必要になります。