三叉神経と顔面神経は似て非なり!
三叉神経と顔面神経は、脳神経と呼ばれる
12種類の神経のグループに属しますが、
どちらの神経も、顔周辺の様々な症状の
出現に関わってきます。
脳神経に限らず、神経の基本的な性質としては、
筋肉に命令を送る運動性というものと、何かしらの
刺激を感知する感覚性という性質があります。
運動性か感覚性の、どちらか片方だけの性質を持つ
ものが大多数ですが、一部には、双方の性質を持った
混合性という神経も存在します。
脳神経の12種類はその一例で、運動性のみ、感覚性
のみ、そして混合性のものもあります。
表題の三叉神経と顔面神経、この両神経は、混合性の
神経になります。
それぞれの神経の主だった働きをみてみますと・・・
三叉神経
運動性の働き:咀嚼筋(そしゃくきん)へ命令を送る
*咀嚼筋・・・顎関節を動かす筋肉(4種類)
感覚性の働き:歯の痛みを感じる、舌の前側の感覚、
顔面の感覚
顔面神経
運動性の働き:表情筋へ命令を送る
*表情筋・・・喜怒哀楽の表情を作るための筋肉群
鼓膜の張り具合を調整する筋肉に命令を送る
→耳の聞こえ具合に影響を与える
感覚性の働き:舌の前側の味覚を感じ取る
注)両神経ともに、ここに列挙した働き以外のものがあります。
~参考までに~
12種類の脳神経のうち、性質が運動性か感覚性の
どちらか一つだけのもの
嗅神経・・・感覚性:臭いを感知する(嗅覚)
視神経・・・感覚性:視力に関与する(視覚)
動眼神経・・・運動性:眼球の動きなど
滑車神経・・・運動性:眼球の動き
外転神経・・・運動性:眼球の動き
内耳神経・・・感覚性:聴覚と平衡感覚
副神経・・・運動性:頚と肩にある一部の筋肉の動き
舌下神経・・・運動性:舌の動き
三叉神経と顔面神経は、
それぞれ症状名で登場することがあります。
一つは、
三叉神経痛
もう一つは、
顔面神経麻痺
です。
三叉神経痛は、耳の周りや頬(ほほ)、
下あごの辺りにかけてピリピリ・チクチク
・ズキズキと痛む事が多く、
どちらかというと顔の表面の痛みが際立ちます。
一方の顔面神経麻痺はというと、
顔にある表情筋の麻痺が主となるため、
喜怒哀楽の表情が作れない、
口に含んだ水がこぼれてしまうなどなど、
強張る・動かせないという状態が主となります。
場合によっては、三叉神経痛と顔面神経麻痺の
それぞれ特徴的な症状が混在して、顔面神経痛と呼ばれる
こともあるようですが、あまり一般的ではないようです。
発症の原因はいろいろと考えられますが、
晴れていると思いきや、急にゲリラ雷雨に
なったり台風が接近してきたりと、
気圧の変動の激しい季節や、クーラーからの
冷たい風を直接顔に受けやすい今の時期も、
三叉神経痛や顔面神経麻痺を起こしやすい
時期ですので、注意が必要です。