春は”肝”の季節
肝臓と肝
西洋医学的には肝臓ですが、東洋医学的には肝といいます。
一般的な肝臓の働きとされているものとしては・・・
1、糖質・脂質・蛋白質や、ビタミン・ミネラル、ホルモンの代謝
2、胆汁の生成
3、解毒作用(アルコールの分解など)
4、血液凝固に関与する物質の合成
5、血液の貯蔵
6、生体防衛作用(異物の除去)
など、様々なものがあります。
この肝臓ですが、かつて、中国の方々は、その中にある血管の構造を、
木の根っこ・幹・枝葉の形になぞらえました。
実際に、解剖の本などを見てみると、言われてみればそんな感じに見え
なくもないのですが・・・。
←血管はこんな感じ??
気温も上昇し始めるこの季節、木々や草花はどんどんと伸びやかに成長して
いきますが、実は、肝臓(肝)も、冬場に縮こまっていた身体が伸び伸びと活発に
動けるように、しっかりと身体のいろいろな働きをサポートしてくれる時期なのです。
東洋医学的に考えられている肝の働きの主たるものとしては・・・
①冷静な判断力や計画性などの精神活動を支配する
②身体を疲れさせないように適度にコントロールする
③血液の貯蔵庫となり、身体の活動状況に応じて全身の血液量を調整する
ということなどが挙げられます。若干、抽象的な考え方であることは否めませんが、
東洋医学的に考えられている肝の働きとは、上述のような内容となるのです。
これらの働きがベースとなり、そこへ種々の原因が加わることによって、肝の調子が
狂わされてくるわけですが、その原因と考えられるものとして、次のようなものが
挙げられます。
精神的なストレスを受け続ける、長い間気分がふさいでる状態が続いている、些細なことで怒ってばかりいる・・・
怒ってばかりいる??こんな感じで・・・
そうなんです。喜怒哀楽のような感情の一部が極端に登場してしまうと、特定の臓腑を
イジメることにつながってしまうのです。
とりわけ、怒りの感情は、肝にとってはよろしくないのです!
では、東洋医学的に言う所の肝の働きが思うように発揮されないと、身体には
どんな症状が現れるのでしょうか?
肝の働きが鈍ったり、過剰になると、以下のような症状が出る事があります。
不眠(安眠できない)、精神的抑うつ、イライラして怒りっぽい、筋肉の引き攣れ・
無力さ、目の疲れ(充血・ドライアイ・流涙過多)、耳鳴り、めまい、頭痛、生理不順など
精神的なストレスのかかりすぎ、怒り感情・・・、これらの蓄積が続くことで、前出③の、
血液の貯蔵庫的役割と、全身の血液量の調整の働きが不調和となり、身体が
伸び伸びとできなくなってきてしまうことで、諸々の身体的症状が出現するのです。
余談ですが、前出の①、冷静な判断力や計画性などについてですが・・・
最近、優柔不断になった気がするなぁ・・・と思うことありませんか?
もしかしたら、肝が疲れてきているかもしれませんよ!
それでは、弱ってしまっている肝の働きを整えるには、どうしたらよいでしょうか?
鍼やお灸を用いることで、少しずつ肝の働きを整えていくことが可能です。
直接、肝(肝臓)に鍼を刺して・・・ということはできませんが、その代わりに、
身体に数多く存在する肝の働きを整えることにつながるツボ(肝のツボは、
特に足に多く存在します!)を少しずつ刺激して、調子を整えていくのです。