追突の衝撃で筋肉が急に伸ばされると・・・
【背中、特に背骨沿いに違和感が・・・】
自動車事故などで追突されることによって発症する”むちうち損傷”、
それに伴う不快な症状は、多岐に渡ります。
数ある違和感のうちの一つで、背中の痛みを感じることもあります。
範囲が広い背中のなかでも、とりわけ、左右の肩甲骨に挟まれた領域で、
どちらかというと、背骨に近い(沿った)場所です。
じ~っと動かないでいる時でも、首の後ろから背中にかけてモヤモヤする
場合もあれば、首を前後・左右に動かそうとすると、モヤモヤ、さらには痛みを
伴うなど・・・
痛みを感じるのが嫌で、首を動かすのが怖くなることもあるでしょう。
追突時の衝撃で、ムチがしなるように、首が前後に激しく動かされることで、
直接的に影響を受けるのは首の周辺ですが、間接的には、少し離れた所まで
影響する場合があります。
【むちうちの影響は遠くまで及ぶ!?】
少し離れた場所でも影響が及ぶのは、何かしらの組織的なつながりがあるから!
ということになります。
背骨という身体を支える組織、神経という情報伝達の組織、そして、
身体を動かすための組織である筋肉などが挙げられます。
これらのうちの、首と背中を結んでいる筋肉にスポットを当ててみましょう。
【簡単な背骨周りのお話】
背骨の真後ろを触ってみると、なんだかボコッとした,
隆起物に触れると思います。
これを、棘突起(きょくとっき)と言います。
この突起の両側には、身体の上下方向を結び、姿勢を支えるための筋肉が
多数存在します。
名称としては・・・
棘筋(きょくきん)
半棘筋(はんきょくきん)
多裂筋(たれつきん)
と呼ばれるものたちです。
あまり聞き慣れない名称かもしれませんが、この筋肉たちは、背骨の後ろ側、
先ほどの棘突起の両サイドにへばりついて、背骨の動きを地味にコントロール
しています。
*実際は、もっと筋肉があります!
【背骨沿いの筋肉の役目とは?】
筋肉は基本的に、縮むか伸びるかの2つの動きによって、骨及び関節の動きを
コントロールしています。
例えば、顔を天井に向ける(上を向く)ときは、棘筋・半棘筋・多裂筋たちが、
上下間の距離を縮めることによって行われます。(他の筋肉も働きます。)
逆に、下を向くときは、これらの筋肉が伸ばされることになります。
(下を向くときは、背骨の前寄りの筋肉が縮みます。)
ですが、これらの筋肉たちのそれぞれには、縮む方向と伸びる方向とに、
一定の限界が存在します。
その一定の限界が、首を前後に動かすなどの、関節可動域というものに
深く関わってくるのです。
首周りの筋肉の状態が正常に近ければ、前屈(下を向く)や後屈(上を向く)などの動きは、
ある程度の角度までと、限界があります。
【追突の衝撃が筋肉に及ぼす影響は??】
ところが、追突事故などによる一瞬の衝撃により、本来動かせるであろう範囲を逸脱して、
過剰に首が前後にしなってしまうと、背骨に付着している筋肉たちも当然、伸び縮みの
限界を超えて傷つけられてしまいます。
【大切な筋肉の特性とは?】
特に、筋肉には、急に無理に伸ばされすぎると、その反動で強く縮んで硬くなる、
という生理学的な反射作用がありますので、
急激な衝撃→筋肉が過剰に伸ばされる→反射で強く縮む
という、負の連鎖を招くことにつながってしまうのです。
注)このシステムは本来、筋繊維が、無理な引っ張りによって
ちぎれないように、筋肉を守るために存在するものです。
こうして、硬くなってしまった筋肉は、本来の伸び・縮みの働きに制約が
生じることになるので、負傷してしまった筋肉の関わる動きに制限が生じ、
その筋肉の存在する場所に、違和感を覚えることにつながるというわけです。
【強張った背骨際の筋肉を緩めるには?】
前出の、首の後ろから背中までの辛さに関わる棘筋・半棘筋・多裂筋たちは、
所在地も、背骨寄りの深いところになりますので、その緩和には、電気治療器や、
鍼治療などによるアプローチが適しています。
強くグイグイと揉みすぎてしまうのは、かえって、辛さを増幅させてしまうことにも
つながり兼ねないので、要注意です!